29年の年輪を持つケヤキの株の中に20年前の姿を彫り出す。真ん中の芯は 発芽して約10年の株の姿である。
木には 様々な表情がある。私が追いかけている年輪もその一つだが それ以外にも色、キズ、虫喰い、腐朽などなど。それらがあるからこそ木だということを意識する。しかしそれらの表情が強すぎて 空間や形を見えにくくする時 私は それらを消し去って 形だけを浮かび上がらせたくなる。
今回の株では 株の中の空間を表出したい。その為に木の表情を消し去ってもいいと思った。そして着色した作品と素の作品を対比させることにした。
木にしてみれば 真っ暗な土の中 表情など観るすべもなく 青だろうと黒だろうと気にしてはいないだろうけれど。 |