左の柱に乗った部分と 右の横たわる塊の部分は、大きな柿木を縦に二つに割った物である。この柿木は、日野の旧家の庭に植えてあった木です。三百年は経っていると言われて、貰ってきました。(新撰組の近藤勇にゆかりのある家らしい。)なるほど、柿木としては、桁外れに太く大きな木です。直径が80cm以上は、ありましたから。
この柿木を前にして、なかなか形のイメージが浮かんでこなかった。形を作り出すには、あまりにも柿木そのものの存在感が強すぎるのです。木の中は、大きな「うろ」(空洞)で、その周りは、渋柿特有の真っ黒な渋が被っています。そのウロから、木が腐って土になったものや、陶器や磁器のかけら、枯れ葉や昆虫まで、大昔のゴミ箱をひっくり返したようにいろんな物が出てきて、ぞっとしました。
結局、腐っていない、老けていない木部を残して出来た形がこの作品です。
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