頭が 二叉に枝分かれした約31年のケヤキの枝。その2本の枝から 27年目の年輪に沿って 芯を掘る。2本の枝の分岐点を通り 途中の芽吹きを残しながら 元口まで芯を掘り出す。
枝は 手探りで行き先を確かめるかのように 小さく振れながら伸びている。
ところで この枝は 末口が太い。なぜなら 枝分かれしているから。木は 様々な要因で 形を変化させますが 枝の発生は その最たる要因だと思います。そして 様々に変形した枝は 私に様々なことをイメージさせます。
私は この枝に 最初トルソをイメージしました。中を掘り進むにつれて 甲冑や埴輪を感じます。そして内部の空間が完成するにつれ 木の時間やこの枝が到達しようとした空をイメージしました。そして この作品にコバルトブルーの色そのものを強くイメージするようになりました。これまでのように 素材感を残しながら 透明感のある色を着色するのではなく 宇宙または空そのものにしてしまいたい。そのための着色。今回の展覧会の色の出発点が この作品の青です。
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