知人の知人にカヤの木から将棋盤を作ってくれと頼まれた。材料はその人のものである。23日の午後から作業を始め立方体に木取りしたあと 一面ずつ角と平面を出していく。木取りの段階から 仕事場中になんとも高貴で香ばしい香りが立ちこめる。木の仕事をしていると 時に香木に接することがある。カヤの香りは これまでかいだ香りの中でも特に魅力的な香りだ。甘くなく、きつくなく、爽やかというわけでなく 気高く優しく嫌みが無い。いつまでも包まれていたい香りである。
もしカヤが女性なら 溺れるだろう。
そのように一目惚れしたカヤの木の一面一面が仕上がるにつれて 表面の真ん中に入っている割れをそのままにしておくのは どうも忍びなくなってくる。依頼主が端材を持っているとのことで それを貰ってくることにする。
さて 荒削りした1023から有機的な突起を削り出す。先端が尖ってくると 5本突起は 自然に海星をイメージしてしまう。 |