胴体の朽ちた表情をどのように残すかを考えている。朽ちた部分に細鑿を入れて取り除いても それは 鑿痕が変化しただけで朽ちた表情は消えてしまう。朽ちた表情はそのまま残してしまった方が生きた表情との対比が際立つように思う。 ノミを振るっているとカミキリ虫が飛んできて塊に留まった。しばらく塊の上をあちこち歩き回ったと思ったら脚を踏ん張って胴体の先端を尖らせて木に突き立てている。人間が見ていることなど眼中にない。ただひたすら種の保存のために生きる。