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2011/04/09

ケヤキ根101118

 仕事場の周りに 片栗の花が咲いていた。気温が低いこともあって春を感じにくいが 春は着実に訪れている。
 植物あるいは樹木という生命の痕跡の一部としての根を 抽象的な造形物へ変化させる。木片の中に美のバランスを作り出す。それが 年輪プレイの次のコンセプトになる。年輪を追いかける「追跡」という行為から「選択と構成」という行為へと 私の制作は変化する。
 昨日グラインダーを掛けた表層に ゴールデンイエロー2:オリーブ3を4倍の水で希釈したステインで着色した。
 ところで いつも塗装作業をする別棟には 過去の作品が無造作に置かれているのだが 塗装作業で別棟に入った時や作業の合間に それらの作品が時々目に飛び込んでくる。
 制作に熱中して 自分の世界にどっぷりと浸かっている時には感じないが 少し期間をおいて その制作を客観的に眺められるようになると 愕然としてしまうことがある。今回の愕然は ジョセッペの手法で作った作品である。わかってしまう。何の驚きもない。それは作者自身が知っているからということもあるが 作為が薄っぺらに感じてしまう。つまり年輪の説明だけで形に対する意志が希薄なのだ。そして 自分の感覚で作り続けていた頃の作品は 良かれ悪かれ感じさせるものがある。年輪プレイという説明の為だけの行為は 冷めた目で見ると それ以外の造形的な面白さがどこにもない。説明を通り越して その先の美的な感覚を作り出したものでなければ 人を引き付けることは できないということに 過去の作品を見て感じた。
 さて 制作は 着色の乾燥を待って 元口から根分かれした根の一本一本の芯を彫り出していく。

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