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2009/10/23

ズグラフィート

 仕事場の大家さんは 現在納屋を改造してギャラリーを造っていらっしゃる。いろいろと嗜好を懲らしていらっしゃるのですが そんな大家さんが 壁に歌を書きたいとご所望です。そこで ズグラフィート(掻き落とし)という方法をお教えしたら 是非 それをやってくれとのこと。実は 私 実際にはこのズグラフィートをやったことがないのですが まあ、壁塗りは フレスコで経験済みだし 文字を削るのも 木彫看板で経験済み。だから どおってことないだろうと思って 安請け合いしましたが さてその顛末は。
 朝10時、硅砂5号と6号 それに消石灰を3対2で混ぜた所へ 墨汁を加える。墨汁が足りないので 木工用着色剤の黒を加えて 練り込みます。大家さんは とにかく細かいことにこだわらない性格で 黒くなれば 何を入れても気になさらない性格。それに忘れではならぬ ハイフレックスを少々。これさえ入れておけば とにかく壁になる。
 さて まずは 壁に黒のモルタルを塗る。水引を待って スタイロフォームで荒らして しごきゴテで押さえてしばらく置いておく。 次に この上に白の壁を薄く塗るのですが 実はここからが問題です。寒水粉と石灰を混ぜたものを 刷毛塗りすると訊いていたのですが 粘りが強すぎたのでしょう。刷毛痕が残ってしまって 凸凹になってしまいました。その刷毛痕を均そうと 次々に塗り重ねるものだから 水引が間に合わずに 石灰が上滑りして 壁に石灰が載らなくなってしまいました。大家さんは 後で見ているし、ついに 私は コテで強引に石灰を塗り重ねていきました。これが 失敗の始まり。コテで薄い層を塗るのは とても難しい。石灰を引きずって 下の黒を出してしまいます。するとまた厚塗りになってしまう。しかも 水引もこない壁なので ベトベト。水分の多いところや少ないところ、厚い部分や薄い部分 これでは うまくいくはずがない。
 それでもこのときは 白壁を何とか塗りおえて 待つこと 2時間。なんとか指に付いてこない状態になった白壁に 文字をトレースして 輪郭をデザインカッターで切っていきます。そして文字の中を削り落として 午後8時前 何とか 完成。
 「なんだ。できるじゃん。まんざらでもない。」
 それが このときの感想です。翌日 この文字を見た大家さんも大満足。早速材料費と報酬を貰って お手を拝借となりました。ところが・・・

 

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