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2003/10/18

赤松927

 松が柔らかいことは 何度も書きましたが、もう一つ 松を彫っていて気になることは 樹脂(松ヤニ)の多さです。年輪に沿って こつこつと彫っていると 突然濃い褐色の部分が現れます。それは節ではなく(節の場合は、年輪の表情に変化が表れてくるので、もう少し彫ると節目だなということが分かる。) 年輪と年輪の間にできた隙間、溝とでも言うべきものです。その中には、松ヤニがドロッと貯まっています。その部分を鑿で掘り当てると、鑿に松ヤニが絡みつき、そこから松ヤニがタラタラとしたたり落ちて、その周辺は、ギットギトのネッチャネチャ、ドーロドロのベットベトです。それが 一つや二つではなく、三つも四つも出てくるのです。
 最初のうちは、無視して 掘り進もうとしていたのですが、鑿や玄翁はもちろん 作業着もベットベトになってしまうので、さすがに対策を講じなくてはならなくなりました。灯油で丁寧に洗い落とすのです。その部分が出てきて、松ヤニがドロドロ垂れ始めたら、灯油を浸したウエスで丁寧にふき取りながら作業します。
 保育社の原色樹木大図鑑によると その部分は「脂壺(やにつぼ)」というそうです。なるほど納得の名前です。ところでその松ヤニなんですが、ドロッと流れ落ちる姿は、まるで蜂蜜です。松ヤニの事を知らない人なら、「ちょっとなめてみようかな。」って、きっと思うはずです。「樹液から作るシロップにメープルシロップという甘い液体があるぐらいだから、きっとおいしいんだろうな。」と思ったあなた。是非ここへ来てください。なめさせてあげますよ。
 

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