この展覧会は ここ数年来の制作コンセプトである年輪プレイによって制作した作品14点を展示しています。年輪プレイとは 木に刻まれている年輪の芯に近いある特定の年輪を辿りながら 木の時間を追体験するものです。4回目となる本展は 特に木の地下に潜った部分 株と根で年輪プレイした作品を展示します。
今回の作品の最大の特徴は 木の現象の多さです。私は プレイの最中 根の中に次々に立ち現れる現象に翻弄され 一片の根をプレイし終えたとき それが 何かの造形物へと昇華することもなく あいもかわらずの根のままであることに気付き 何度となく愕然としました。
しかし 制作を続けていく中で 現象は現象でしかなく、それが木の事実でも 特筆すべき何かでもない ただの木の生命維持に於ける一現象に過ぎないと思えるようになりました。そして 現象よりも そこにある自然が作り出した造形を選択 あるいは表出させ 一つの木の塊の中に 木そのものでもなく 私の感覚だけでもない 美的な造形行為をしたいと思うようになりました。
作品をご覧頂きながら そのような年輪プレイの意識の変化を感じていただければ幸いです。